Frederick Stevenson / Montepulciano 2021 フレデリック スティーヴンソン / モンテプルチアーノ
モンテプルチアーノを感じつつ、スティーヴンらしい軽やかさとセンスが健在する
元々JAUMA【ヤウマ】の初期によく似たGrenacheで衝撃を与えてくれたFrederick Stevensonですが、Montepulcianoの様な強い酒質の品種をエレガントに仕立てる才覚に富んでいる様です。アブルッツォのそれとは全く違うスタイルで、寧ろその大部分よりも美味しいと断言してしまいたくなる素晴らしい出来栄えです。
ブドウはエデンヴァレー・アンガストンのすぐ北にあるティム・フェヒナーの敷地から。
ブラックベリー、スパイスの効いたプラムのコンポート、桑の実、ハーブ、そして胡椒のような香り。
芳醇で豪華なプラムとチェリーが前面にあり、その後新鮮な酸味を伴うブラックベリーの要素が現れます。ひんやりとしたハーブの感触があります。渋み・タンニンは非常に細かくも豊富。モンテプルチアーノらしい果実味や充実した存在感も感じながらフィニッシュは軽く赤いベリーの心地良い余韻となります。
生産本数は3137本。
【原産国】オーストラリア 南オーストラリア州 エデンヴァレー
【生産者】スティーヴン・クロフォード
【タイプ】赤ワイン ミディアム ドライ
【ぶどう品種】モンテプルチアーノ100%
【アルコール 】13.40%
【公式HP】https://www.frederickstevenson.com.au
スティーヴンクロフォード Steve Crawford
フレデリックスティーヴンソンは、2014年頃突如として南オーストラリアのアデレードに販売され始めた謎のワインでした。一体誰がこのワインを作っているのか誰も知らず、そしてどこに醸造所があるかも不明だったのです。それもその筈フレデリックスティーヴンソンとは仮名であり、その正体はスティーヴンクロフォード。フランスでワイン造りを学んで故郷に戻ったばかりの青年だったからなのです。
スティーヴンはワイン作りを始めるに当たり、先ず自身のアイデンティティを全てひた隠しにしました。スパイダーマンやバットマンのようにエイリアスを作ったことには理由があり、自身が望むスタイルを作り続ける事で周囲から敵視されたり、家族が後ろ指を指されるのではないかと考えたのです。
ルーシーマルゴーやショブルックのワインが当時は殆ど流通しておらず、スティーヴンはオーストラリアに於ける自分を異端として捉えていた訳です。偽名を使用し、複数の無名アーティストをラベルデザイナーに据え、突如としてサンプルボトルをワインショップに送りつけることでビジネスの礎を築いたスティーヴン。つい数か月前までは無名の存在であり、アデレードの街中にある古ぼけたガレージでワインを作っていることなど、誰も露知らず。ミステリアスでアンビシャス。
2014年、まさしくオーストラリアにいた頃、ワインショップのワイン棚に置いてあったフレデリックのラベルが当時は斬新で際立っていつかは飲んでみたいと思っていた頃、メルボルンのレストランに来て、自らワインの試飲の営業を行っていました。コーラのようなジュースの飲み物みたいで、こんなもんか。。と当時思っていました。が、、現在の彼のワインは見事進化しておりました。私の好きなナチュラルメイキングなんだけど不快な要素がなく、かつ楽しいと思わせてくれるような複雑性だったり個性を感じさせてくれるワインでした。2023年の6月で遅すぎますが、彼のワインを販売するに至りました。